2011年 05月 30日
漆をくろめる
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塗料としての漆にするためには(精製)、「なやし」と「くろめ」の工程があります。
以前は、塗師さんが自分で精製していたのですが、現在は、ほとんど漆屋さんまかせです。
取引先の塗師さんが漆づくりをするというので、初めて見学させてもらいました。

生漆(漆の木の樹液)は、コーヒー牛乳のような色合いです。
まず、「なやし」の工程で、塗り肌を良くするために、生漆をよく練って漆を均一にします。
この作業を、朝の6時から始めています。

「くろめ」の工程で、太陽熱などを利用して、生漆に含まれている水分を蒸発させます。
朝6時から始めているので、最初は「なやし」の工程で、
太陽が高くなるとともに、「くろめ」の工程に入ったことになります。

なやし、くろめること、6時間30分。 漆は、茶色から、すっかり黒くなってしまいました。
これを冷暗所で数日間、養生してやると、泡が消え、落ち着いた漆になります。
そのあと、ゴミをとるための、濾過工程があります。
しかし、こうしてみると、「くろめる」とはよく言ったものですね。

一見、真っ黒な漆なのですが、こうしてガラス板に「つけ」をしてみると、実は、透明度の高い薄茶色です。
黒漆にするためには、このあと鉄分を入れて、酸化反応を起こさせて黒くします。
漆器を作る工程も大変ですが、実は漆を精製する工程もなかなか大変なのです。
[A記]
「なやし」とは;
漆液は「油中水球型」エマルジョン、すなわち、ウルシオール(油性)の中にラッカーゼを含んだゴム質の水球が入って乳化している状態です。
採取したばかりの生漆は、水球が大きめで、不均一な状態です。
ゆっくりとすり混ぜていくことによって、水球を細かく均一にしていきます。
これが、「なやし」の作業で、漆の伸びが良くなり、艶も出ます。
お菓子作りに詳しい方ならチョコレートの「テンパリング」を思い浮かべていただくと、ご理解いただきやすいかと思います。
「くろめ」とは;
生漆は約30%ほどの水分を含んでいます。漆を攪拌しながら放射熱を与えて3%位まで水分を蒸発させます。
水分が減って透明化し、またある程度酸化するので黒ずんできます。つまり重合反応が進んで耐久性が増した状態になります。
加熱しすぎますと、酵素であるラッカーゼの活性が失われますので、太陽熱を利用する方法は、理に適ったやり方でした。
※ 参照:「漆の本―天然漆の魅力を探る―」永瀬喜助著

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以前は、塗師さんが自分で精製していたのですが、現在は、ほとんど漆屋さんまかせです。
取引先の塗師さんが漆づくりをするというので、初めて見学させてもらいました。

生漆(漆の木の樹液)は、コーヒー牛乳のような色合いです。
まず、「なやし」の工程で、塗り肌を良くするために、生漆をよく練って漆を均一にします。
この作業を、朝の6時から始めています。

「くろめ」の工程で、太陽熱などを利用して、生漆に含まれている水分を蒸発させます。
朝6時から始めているので、最初は「なやし」の工程で、
太陽が高くなるとともに、「くろめ」の工程に入ったことになります。

なやし、くろめること、6時間30分。 漆は、茶色から、すっかり黒くなってしまいました。
これを冷暗所で数日間、養生してやると、泡が消え、落ち着いた漆になります。
そのあと、ゴミをとるための、濾過工程があります。
しかし、こうしてみると、「くろめる」とはよく言ったものですね。

一見、真っ黒な漆なのですが、こうしてガラス板に「つけ」をしてみると、実は、透明度の高い薄茶色です。
黒漆にするためには、このあと鉄分を入れて、酸化反応を起こさせて黒くします。
漆器を作る工程も大変ですが、実は漆を精製する工程もなかなか大変なのです。
[A記]
付記
「なやし」とは;
漆液は「油中水球型」エマルジョン、すなわち、ウルシオール(油性)の中にラッカーゼを含んだゴム質の水球が入って乳化している状態です。
採取したばかりの生漆は、水球が大きめで、不均一な状態です。
ゆっくりとすり混ぜていくことによって、水球を細かく均一にしていきます。
これが、「なやし」の作業で、漆の伸びが良くなり、艶も出ます。
お菓子作りに詳しい方ならチョコレートの「テンパリング」を思い浮かべていただくと、ご理解いただきやすいかと思います。
「くろめ」とは;
生漆は約30%ほどの水分を含んでいます。漆を攪拌しながら放射熱を与えて3%位まで水分を蒸発させます。
水分が減って透明化し、またある程度酸化するので黒ずんできます。つまり重合反応が進んで耐久性が増した状態になります。
加熱しすぎますと、酵素であるラッカーゼの活性が失われますので、太陽熱を利用する方法は、理に適ったやり方でした。
※ 参照:「漆の本―天然漆の魅力を探る―」永瀬喜助著
[K記]
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by aizu-shirokiya
| 2011-05-30 19:11
| 白木屋
|
Comments(3)
貴重な写真をありがとうございます。
漆を精製する工程の中での、取引先の塗師さんのご苦労のほどが伝わってきました。大変なお仕事ですね。
ところで、「くろめ」は「黒くしていくこと」の意のようですが、「なやめ」は「柔らかくする、平らかにする」のような意と解してよいのでしょうか、今一つ分かりません。
漆を精製する工程の中での、取引先の塗師さんのご苦労のほどが伝わってきました。大変なお仕事ですね。
ところで、「くろめ」は「黒くしていくこと」の意のようですが、「なやめ」は「柔らかくする、平らかにする」のような意と解してよいのでしょうか、今一つ分かりません。
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dajaro 様 いつもご覧戴き有難うございます。
おそらく国語辞典にある「萎す」に由来する言葉だと思われます。衣服などをしなやかにする意味と書かれております。
漆を「なやす」とトロっとして艶が有り、滑らかで柔らかい感じになりますので、同じ様に考えたのでしょう。
また、時間をかけて、ゆっくりすり混ぜていく過程が、布を砧で気長に打ち続ける工程と、気分的に似ているような気もします。
後ほど、本文に もう少し説明を付記するつもりです。
[K記]
おそらく国語辞典にある「萎す」に由来する言葉だと思われます。衣服などをしなやかにする意味と書かれております。
漆を「なやす」とトロっとして艶が有り、滑らかで柔らかい感じになりますので、同じ様に考えたのでしょう。
また、時間をかけて、ゆっくりすり混ぜていく過程が、布を砧で気長に打ち続ける工程と、気分的に似ているような気もします。
後ほど、本文に もう少し説明を付記するつもりです。
[K記]


